Anoko

Anoko

あの子

" 続 これが、きみが、見ていた世界。 恐る恐る近づいてピアノの蓋を開けると白黒の鍵盤が覗く。触れた指先からくぐもった音が鳴る。デタラメでヘタクソなメロディーに視界が滲む。それはもう子どもじゃいられないと知らしめてくるようで。つっかえた音に手を止める。ならない鍵盤の間に手紙型に折られた小さなノートの紙切れが挟まっていた。 『お話上手の君へ』 女の子らしい丸っこい字に桜のマーク。字なんて見たことは無かったけれど、きみの書いたものだと思った。きみが、確かにここにいた証。夢じゃない、幻想じゃない証。 (0

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