Anoko

Anoko

あの子

忘れたいことほど忘れられない。 嫌いな夏が来てまた過ぎ去っていく。近くの神社のお祭りには今年も行けなかった。太鼓の響く低音が苦手でそれでも毎年向かうほど好きな空間に入れなくなってから数年が経つ。私が好きだった夏はたぶんもう来ない。 その神社は小さい数個の社に少しの広場のような空間がある場所で、公園が近いこともあり普段は薄暗く人が居ることも少ない。まるで存在を忘れられたかのようにひっそりと息をしているそんな神社だ。小さい頃はそこを通るのもなぜだか少しだけ怖かった気がする。そんな神社が年に一回祭りの(0

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